はじめに
糖尿病の検査は、現在の血糖値の状態と将来のリスクを正確に把握するために欠かせません。
血糖値とHbA1cを中心に、必要に応じて追加検査を組み合わせることで、診断と治療方針を適切に決定できます。検査結果を正しく理解し、継続的な管理につなげることが重要です。
糖尿病の検査が重要な理由
糖尿病は初期に自覚症状が乏しく、進行してから合併症が見つかることも少なくありません。
検査によって高血糖の有無や程度を把握し、治療開始のタイミングや目標設定を行うことで、合併症の発症や進行を抑えることが期待されます。特に、健診で指摘された段階での評価は、その後の予後に大きく影響します。
検査項目
血糖値
血液中のブドウ糖の量を示す指標です。空腹時血糖値、随時血糖値、食後血糖値など、測定するタイミングによって意味が異なります。
診断では静脈血漿で測定した値を用います。
HbA1c
過去1〜2か月程度の平均的な血糖値の状態を反映する指標です。日内変動の影響を受けにくく、治療効果や管理状況の評価に用いられます。
糖尿病型の判定や治療目標の設定に重要な検査です。ただし、貧血などがある場合には正確に評価ができないことがあります。
75g経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)
空腹時にブドウ糖を摂取し、一定時間後の採血を行い血糖値変化を調べる検査です。
境界型や診断がはっきりしない場合に有用で、耐糖能異常の評価に役立ちます。
尿検査
尿糖や尿蛋白、アルブミン尿の有無を確認します。
腎臓への影響を早期に捉えるために重要な検査です。
インスリン分泌・抵抗性の評価
必要に応じて、早朝空腹時にインスリンやCペプチドなどを測定し、ご自身の膵臓から分泌されているインスリン分泌量や効き具合(インスリン感受性)を評価します。インスリン分泌が不足しているタイプなのか、インスリンは分泌はあるものの効きにくい(抵抗性が強い)状態になっている方なのかなどを判別することができます。この違いにより治療方針や薬剤の選択が変わることがあるため、検査結果は診療の参考になります。
合併症を見据えた検査
糖尿病では、血糖値の評価だけでなく、合併症の早期発見が重要です。
腎機能検査、神経症状の確認、眼科での検査紹介、歯科受診の紹介、動脈硬化の程度を知る検査などを組み合わせ、全身状態を把握します。これにより、将来の合併症発症リスクを踏まえた治療計画が可能になります。
当院での検査の特徴
当院では、血糖値やHbA1cなどの基本検査を当日に行い、結果をその日のうちに説明します。
朝8時から診療しているため、通勤前の受診にも対応しやすく、継続的な検査・管理を行いやすい体制です。WEB予約を活用し、待ち時間の短縮にも努めています。検査結果は生活背景や年齢、合併症の有無を踏まえて総合的に解釈します。
検査結果の見方と次のステップ
検査結果は単独で判断するのではなく、複数回の測定や経時的変化を見ることが重要です。
数値が基準値を超えていても、すぐに薬物療法が必要とは限りません。食事療法や運動療法をしっかりとお伝えし、生活習慣の見直しで改善が期待できる場合はまず生活習慣の見直しを行います。
しかし、血糖値の状態によっては早期に治療を開始した方が良い場合もあります。
当院では、結果を分かりやすく説明し、今後の方針を一緒に決めてまいります。
こんな方は検査をおすすめします
- 健診で血糖値やHbA1cの異常を指摘された
- 家族に糖尿病があり不安がある
- 体重増加や生活習慣の変化があった
- 喉の渇きや多尿などが気になる
- 急激な体重減少があった
- 治療中だが数値の推移を見直したい
「糖尿病で足がだるい…」といった症状を見過ごしていませんか?
糖尿病を患っている方の中には、「足がだるい」「重たい」「痺れる」といった違和感を日常的に覚えている方が少なくありません。
こうした症状の背景には、血糖コントロールの乱れや糖尿病に起因する合併症が隠れている可能性があり、放置することで悪化するリスクがあります。まずは糖尿病の評価を行い、血糖コントロールの調整が必要な場合には調整を行ったうえで、しびれにもアプローチしてまいります。
よくある質問(FAQ)
血糖値とHbA1cはどちらが重要ですか。
どちらも重要です。血糖値はその時点の状態、HbA1cは過去の平均的な状態を示します。両方を組み合わせて評価します。
検査は空腹で行う必要がありますか。
空腹時血糖値やOGTTは空腹時に行う必要があります。随時血糖値やHbA1cは食事の影響を受けにくい場合もありますが、検査内容により異なります。必要に応じてどのタイミングでの検査が適当であるかをお伝えいたします。まずは受診することを最優先としてください。
当日に結果は分かりますか。
血糖値やHbA1cなどは当日に結果説明が可能です。追加検査は後日になる場合があります。
異常が出たら必ず治療が必要ですか。
A数値や全身状態によります。食事療法や運動療法など生活習慣の改善のみで経過を見る場合もありますが、最初から薬物療法の適応になる方もいます。治療法の選択に関しては個々の状態により判断します。
記事の執筆者
田町三田駅前みなと甲状腺・内分泌内科クリニック
院長 小菅 由果
経歴
| 2005年 | 東京医科大学医学部医学科卒業 国家公務員共済組合連合会虎の門病院内科初期研修医 |
|---|---|
| 2007年 | 国立国際医療研究センター 糖尿病・代謝・内分泌科 後期研修医 (途中、JR東京総合病院内分泌代謝科専攻医として出向期間あり) |
| 2010年 | 伊藤病院内科(甲状腺専門病院) |
| 2014年 | 配偶者の都合で渡米(ボストン) Joslin Diabetes Center Asian American Diabetes Initiativeにて outreach staffとして貧困地域に対して糖尿病啓蒙活動 |
| 2015年 | 聖路加国際病院内分泌代謝科 |
| 2017年 | 配偶者の都合による渡米(サンフランシスコ) |
| 2020年以降 | 伊藤病院(甲状腺専門病院) しぶや甲状腺クリニック(甲状腺専門クリニック) がん研究会有明病院 東京高輪病院 にて勤務 |
所属学会
- 日本甲状腺学会
- 日本内分泌学会
- 日本糖尿病学会
- 日本内科学会
- 日本乳腺甲状腺超音波学会
- 日本母性内科学会
- 米国甲状腺学会(American Thyroid Association)
- 米国内分泌学会(Endocrine Society)
- 米国糖尿病学会(American Diabetes Association)
資格
- 日本甲状腺学会認定甲状腺専門医
- 日本内分泌学会認定内分泌代謝専門医・指導医(暫定)
- 日本糖尿病学会認定糖尿病専門医
- 日本内科学会認定内科認定医
- 日本内科学会認定産業医



